毎年、年明けから確定申告に向けて多くの人が書類作成や申告に必要な手続きをし始めます。個人事業主など慣れている人もいれば、税理士さんや経理に任せている人など様々な人がいると思います。
意外に確定申告をしたことがなく、分かっていない人も多く、普通の会社員であれば基本的に確定申告は必要ありません。
ただし副業をしていたり、株やFX、仮想通過などをしている人は必要となってきます。
年間のトータルが損だったからといって放置していると、後で大変なことになるかもしれません。知らなかったでは済みませんので、しっかりと納税についての知識は持っておいた方が良いでしょう。
せどりや転売の場合も、本業として、副業としてどちらにしても確定申告は必要となってきます。申告の必要ない場合もありますが、税金の控除などもあるので、実はやって損はないと思います。
そこで今回は、申告についての基礎知識やケースごとの申告方法、税理士が必要な場合など、せどりや転売の申告について詳しく紹介していきます。
目次
申告を税理士にお願いするメリット・デメリット
確定申告はケースによって方法や必要な書類、控除なども変わってきます。せどりをしている全ての人に税理士が必要というわけではありません。現在の状況や目標に応じて上手に利用したほうが良いでしょう。
それでは、税理士さんにお願いするメリットとデメリットを紹介していきます。
メリット
全て税理士さんにお任せ
まず税理士さんに頼んで1番メリットが感じられることは、自分で面倒な計算や記帳をしなくてよいという点です。
仕入れや売り上げが非常に少なく、税理士さんに頼むほどの量や額であれば頼むことなく自分で作成する方が良いかもしれません。しかし、中には難しい計算や判断の難しいことも出てきます。
例えば、帳簿を付けたり情報を検索するために高額なパソコンを購入した場合、減価償却費として耐用年数を考慮して申告の際に計上しなければなりません。また、仕入に使っている車も同様です。
さらに、私用と仕事用と同じ物を使っている場合、按分(あんぶん)といって使用割合をそれぞれで出してから計算しなければなりません。
それらを1つ1つ計算して、割合を出して記帳といった作業に慣れていない人は、混乱するほどかもしれません。やはりお金の計算はプロに任せるのが1番と言えます。
時間に余裕が生まれる
難しい計算と記帳を税理士さんに任せれば、その分の時間が空くことになります。そうすれば、その時間を新たな仕入れや自分の時間に使うことも出来るようになります。
時間的な余裕がなければ、良い商品の仕入れを逃したり、精神的に疲れてしまい、せどりが効率良く行えません。
せどりにおいて大切なのは商品の仕入れです。申告に時間を取られてしまっては、意味がありません。
税金の知識が身に付く
全てを税理士に任せるのではなく、補助的なサポートとして税理士さんにお願いする方法もあります。
なるべく自分で記帳などのデータは作成して、定期的に税理士さんにチェックや相談をお願いするれば、経費の付け方や書類の作成方法など知識として身に付けることが出来ます。
慣れてしまえば、税理士さんを雇わずに、サポートなしでも作れるようになり、一石二鳥にもなります。
デメリット
税理士さんへの報酬く
税理士さんにお願いをするということは、お金を支払わなければなりません。平均的には月に2万円程度が相場なので、年間で30万円ものお金がかかってしまいます。
せどりの年間利益が30万円いかないのにも関わらず、報酬額の方が高ければマイナスになってしまいます。利益がしっかりと出せて、プラスになるようになってから雇う方が良いかもしれません。
しかし、せどりをスタートから本業として考えていく人は、最初の方はマイナスでも税理士さんにサポートしてもらいながら行っていく方法もあります。状況によって雇うかどうかは判断するべきです。
税理士さんの得意分野
お金のプロである税理士さんですが、人によって得意分野・不得意分野があります。それらをしっかりと判断して雇わないと、時間がかかってしまったり、正確な申告が出来ない可能性もあります。
税理士さんはなるべく事業をしているエリア内で見つけると、相談がしやすく対応もスムーズに行えます。また、雇う税理士さんがパソコンに強い方なのかどうか、ネットビジネスに精通している方なのかにもよります。
パソコンが苦手で、ネットビジネスの案件をこなしてこなかった税理士さんには頼まないほうが賢明です。何人か税理士さんと直接会って相談をしてから決めましょう。
税理士にお願いせずに申告を自分でやるには?
確定申告では、年間の損益額(1月1日から12月31日まで)の計算から必要経費の計算まで、データ作成をしてから決められた期間内に税務署へ提出しなければなりません。
ここまで税理士さんにお願いするメリット・デメリットを紹介しましたが、次に自分でやるという人のために注意点を踏まえながら、いくつかのポイントを紹介していきます。
確定申告の時期
まず、確定申告の時期は毎年2月中旬から1か月間、各自治体の税務署や申告会場にて行われます。
申告の受付期間に必要書類を持って、会場にいる税理士さんの無料相談や、税務署の職員の人と一緒に作成して提出します。
しかし、会場での作成には時間もかかり、待ち時間と作成時間で2時間以上かかることも珍しくはありません。
時間に余裕のない人は、自宅で作成して会場に提出のみしに行ったり、税務署への郵送で終わらせることも出来ます。
さらにパソコンやネット環境が整っている人は、e-Taxにてネットで終わらせることも可能です。
その際には、カードリーダーや情報の事前登録が必要になるので、国税庁のホームページや税務署にて確認してください。
確定申告の種類と方法
申告には青色と白色の2種類があります。基本的にはどちらでも申告は可能ですが、税金の控除額に大きな差があります。
青色申告
年間損益の表や、経費、その他の収入、株やFXでの損益額などお金のあらゆるデータを細かく揃えなければなりません。様々な事業や、複数個所からの収入がある人は計算やまとめるのが大変になってきます。
それらを、国税庁ホームページの申告専用ページから順番に入力するか、用紙に直接数字を書き込まなければなりません。申告会場にて作成も可能ですが、時間もかかるので、できれば自宅で作成するのが良いかもしれません。
そして、必要書類と一緒に提出するのですが、手間もかかる分だけ控除額は大きくなります。青色申告の場合65万円が控除され、非常に大きな額となっています。ちゃんと細かく書類を提出すれば、たくさん減税しますということです。
白色申告
基本的な作成方法や時期は青色と変わりません。何が違うのかというと、提出しなければならない書類が青色より少なく、簡単で良いという点です。
青色の場合は年間損益だけでなく、細かい経費や帳簿を提出しなければなりませんが、白色では簡単に言うと年間損益額と最低限のデータを出せば大丈夫です。
その代わり、税金の控除額が10万円になってしまいます。55万円も控除額に差があるならば、面倒でも青色で慣れておいた方が良いかもしれません。
確定申告の書類作成に役立つツール
普段から細かく収支計算をして帳簿に付けなければなりません。そこで、せどりにおいて確定申告の際にも役立つツールを紹介していきます。
エクセル
管理ツールの代表的なソフトです。細かな計算やデータ検索など、ありとあらゆる機能がこのソフトには備わっています。
パソコンに慣れていない人は、最初は入力や関数機能など難しいかもしれませんが、毎回使っていればすぐに効率良く使いこなせるでしょう。手書きで行うのも良いですが、今までのデータと比較したりできるので非常に便利です。
googleスプレッドシート
機能的にはエクセルと大きな差はなく、どちらかが使えれば問題ありません。エクセルとの違いとしては、オンラインでのデータ共有が可能という点です。
様々な場所の端末で、データを見たり編集したい場合にはこちらがお勧めです。
せどりすと
せどり専用の管理ツールです。エクセルなどでゼロから作成するよりも、項目も用意されているので、商品の必要な情報だけ入力すれば大丈夫です。
せどりを行う人は必ずと言って良いほど使われているツールです。エクセルと使い分けるのも良いかもしれません。
会計ソフト
有料版、無料版さまざなな会計ソフトがあり、機能などもソフトによって変わってきます。
自分が使いやすいソフトがあれば、せどりすとやエクセルよりも効率良く作成が可能かもしれません。
申告していないとどうなる?
では、確定申告を忘れてしまったり、間に合わなかったり、バレないと思ってしなかった場合どうなるのかということをご存知でしょうか?
時々ニュースで、会社や個人が故意、過失に関わらず多額の追加徴税を受けたという報道も聞くことがあります。まさか自分には無いだろうと思わずに、しっかりと申告するようにしてください。
確定申告の期限延長申請
どうしても申告の期限内に提出ができない人もいると思います。事情は様々ですが、災害や病気・事故による入院など、やむを得ない場合もあります。そんな時には、確定申告の期限延長申請を使います。
期限内に申請できない理由を記入して提出しますが、単純に忘れていた場合などは認められません。しっかりと早めに準備しないといけないということです。
延滞税と無申告加算税
もし仮に申告の時期に提出できず、遅れて申告をした場合、延滞税(最大14.6%)と無申告加算税(最大20%)を支払わなければなりません。
どの程度の額を支払わなければならないかはケースによって変わりますが、いつまでも申告から逃げていると税務調査が入ります。
調査前される前に自己申告をすれば少ない追加金で済みますが、送れるほど金額が増えて不利になっていきます。また、過去の申告状況によっても変わってくるので、なるべくクリーンな状況でいた方が良いでしょう。
控除が受けられない
青色申告では65万円の控除がありますが、期限後申告になると控除が受けられないペナルティーが課されてしまいます。
1日でも遅れてしまえば、せっかく得た利益も無くなってしまうので気を付けなければなりません。
過少申告加算税・重加算税・不納付加算税
申告をする場合に、納税額の不備があったり、故意に利益を得ようと隠蔽を行い、調査で指摘されたばあい、修正を行わなければなりません。
しかし、修正して間違った分の税金を支払えば良いのではなく、追加で税金を支払うことになります。
過少申告加算税
本来納めなければならない税金よりも少なく納付した場合に課せられる税金です。
10%~15%の税金が追加でかかってしまいますが、税務調査前に気づいて修正し、再提出などの手続きを行えば追加で払うことはありません。
重加算税
粉飾決済や所得隠しなど、故意に収益を偽って申告した場合に課せられる税金です。
税務調査などにより故意と認められれば、35%~45%もの税金を追加で支払わなければなりません。やはり故意に申告を偽るのは良くありません。
不納付加算税
源泉徴収額が期限までに納付されなかった場合に課せられる税金です。
これは、個人事業主など会社を経営して人を雇った場合などに関係してきます。大きな事業としてせどりを発展させて、従業員を雇うような場合には、知っておいた方が良いでしょう。
申告をしなくて良い場合も?
確定申告が必要ない人も中にはいます。具体的には、せどりなどの副業で年間の利益が20万円以下の場合です。
最初などの小規模なせどりの時は、確定申告をしなくても良いかもしれませんが、控除や、損失の繰り越しなど確定申告をすることで優遇を受けられる場合もあります。
つまり確定申告が必要ない人でも、しておいた方が後で必要になった時に作成に時間がかからなかったり、控除を受けられる可能性があると言えます。
お金の動きを知ることから
最初は確定申告が大変かもしれませんが、単純な売り上げ計算だけでなく、経費についての知識や、税金についての勉強にもなります。
税理士さんに全てを任せるのではなく、サポートという形で利用することによって、今後のせどりをより効率良く行えるはずです。
副業としてある程度のプラスを求めるのか、個人事業として規模も大きくやっていくのかで、申告の方法や税理士さんを利用する割合も変わってきます。
まずは、しっかりと目標を立てて、収支計算や記帳をこまめに行うことが大切です。そして、確定申告がスムーズに行えるように普段から数字に意識を持つと良いでしょう。