いらなくなった物をヤフオクやメルカリ、ジモティーといったところで売り買いする人がここ数年で非常に増えました。気軽に出来る事から人気が続いていますが、人によってはビジネス・営利目的でやっている方もいるかもしれません。
人気グループや歌手のコンサートチケット、芸能人や人気スポーツ選手の私物やグッズなどレアな物も時々売られていますが、果たして法律的にはどうなのでしょうか。
そこで今回は、どこまでが合法で違法なのか理解していない方のために、転売の法律的な面から焦点を当てて紹介していきたいと思います。
目次
違法転売にあたるケース
転売が違法になる場合のケースを1つずつ確認します。当たり前だと思うケースから、判断が難しいケースまであるので、しっかりと理解しておきたいところです。
チケットのダフ屋行為
一昔まえでは、チケットのダフ屋行為はよくコンサート会場周辺で行われていました。特に人気アーティストやアイドルのチケットは入手できる人が限られ、会場の近くで高額な値段でもダフ屋から買う人は多くいました。
しかし、トラブルも多く起こったため多くの都道府県がダフ屋禁止条例で、チケットなどを販売することや、転売目的でチケット類を購入すること自体を禁止しました。
ただし例外があり、元々自分で行くつもりで買ったチケットを正規の値段以下で売る場合は、条例違反にはなりませんが、正規の値段より高い値段で売った場合は条例違反になる場合があります。
また、最近ではチケットの購入者本人以外は使えないといった場合もあります。運営するところによってルールが異なるので、個別に確認が必要です。
さらに、購入者以外は使えないチケットと分かっていながら購入者と偽って使用しようとした場合、違法になる可能性もあるのでチケットを売る側だけでなく、買う側も気を付けなければなりません。
チケット販売者が、事情によりチケットを手放すために売っているのか、利益目的で転売を行っているのかを見分けるのが難しい場合もあるので正規ルートでチケットを入手するのが1番安全です。
古物商許可を取らずに販売
実は、日本では原則として古物(一度消費者の手に渡った物品)を転売する場合は、古物営業法により古物商許可書を取らなければなりません。
法人、個人問わず商品を仕入れて転売することはできず、古物営業法違反によって逮捕される場合もあります。つまり、メルカリやヤフオクで転売をしている方はすべて違法ということになってしまいます。
ただし違法になるのは継続的に営利目的で行った場合であり、単発で行った場合には違法にはなりません。
しかしながら継続して利益のために売った方と、自分で使用していたが、今は使用しなくなったために売った方の見分ける判断が難しい場合も多くあります。
古物商許可を持っていれば堂々と転売は可能ですが、持っていない場合は個別に判断をすることになります。そういった意味では、非常にグレーゾーンとなります。許可を持っていないのに継続性が認められれば違法となってしまうので、持っていた方が安全と言えるでしょう。
偽ブランドや有名ブランドのロゴを使用した商品
このケースは言わずもがなですが、有名ブランドと偽って販売した場合は犯罪となります。ケースにもよりますが、購入者も罪に問われる可能性もあります。
専門的な知識が無かったり、正規店や信頼できるお店以外での売買は避けた方が賢明と言えます。メルカリなどのサイトでも、偽物の出品や購入は禁止していますが、100%全てが本物とは言えないので、判断は個人で責任をもってした方が良いでしょう。
銃や麻薬、ポルノ作品など
こちらも国の法律で禁止されている物を販売、所持している場合、逮捕されてしまいます。エアガンの威力を上げた違法改造や、合法麻薬やハーブ、違法ポルノ作品など個人で製作したり輸入したりしている場合もあります。
しかし販売業者側(または個人)はあの手この手で法律をすり抜けようとしています。特に合法ハーブでは、禁止成分を含まないハーブが次々に販売されては、国がそのたびに対策を行うなどイタチごっこ状態となっています。
また、動物やはく製、化石なども国際条例や法律によって禁止されている場合もあります。以前、ニコラスケイジが購入した恐竜の化石が盗掘された物と判明し、返還したというニュースもありました。
当然そういった物を販売すると逮捕されてしまいますので、転売を正しくするための知識としてしっかりと身につけておきましょう。
合法な転売ケース
違法なケースでも少し触れましたが、しっかりとルールを守れば合法的に転売をすることは可能です。線引きの難しい場合もありますが、あとで指摘されないためにもしっかりと確認したほうが良いでしょう。
個人で使わなくなった物
基本的に、個人の使用目的で買った物が必要なくなったので、それを転売することは違反にはなりません。主に、違法になるのは仕入れの時点で、転売目的という動機がある場合です。
チケットの場合でも、当初イベントに行くつもりで購入したが都合で行けなくなり、購入した際の値段以下で転売する場合は違反にはなりません。購入額以上で売るとダフ屋行為となり迷惑防止条例違反となってしまいます。
チケットの場合は値段が釣りあげられているか判断もつきやすく、営利目的の転売かどうかがすぐにバレてしまいます。しかし、多くの物が利益目的かどうかは判断しづらいようです。
ただし、同じ物を大量に仕入れて売っていた場合、また、それらを継続的に行っていた場合は営利目的の転売とされる可能性が高いようです。
古物商許可を取る
1番の安全策として許可を取れば、転売のできる範囲が広がります。
許可を取る方法は、先ず警察署の防犯係にて申請書類をもらいます。警察庁のホームページにてダウンロードも可能ですが、個人での申請か法人での申請かによって必要書類も変わってきてしまうので、窓口で直接確認しながらもらうのが良いでしょう。
その後、住んでいる地域の役所や法務局で必要な書類を揃えます。また、インターネットを使っての販売を行う場合は使用するホームページなどの記載も必要になるので、事前に用意しておかなければなりません。
必要書類が揃えば、警察署にて申請を行います。19,000円の手数料が必要になりますが、試験もなく問題がなければ受理されます。約40日程度で許可が下りますが、書類の不備があると遅れてしまいます。
講習会も必要なく、許可が下りればすぐに始められますが、転売を開始する約2か月前に申請を始めるのが最も確実と言えます。
行政書士に申請代行を頼むことも可能ですが、そこまで難しい申請ではないので個人で行った方がお得です。どうしても忙しく、申請の時間を取れない場合は代行にお願いしても良いかもしれません。
これで堂々と転売をすることは出来るのですが、中には他の許可や資格が必要な物もあるので、何を扱うかによってルールをしっかりと守らなければなりません。
当然ですが、偽ブランドやチケットは古物商許可を持っていても出来ませんので注意してください。
海外で購入した物
販売する方が自分で海外に行き、買い付けて国内に輸入したものを販売するのみであれば、古物商の許可は必要ありません。
しかし、他の業者が輸入したものを日本国内で買い取って売る場合は、国内の盗難等被害品が混在する可能性があるため、古物商の許可が必要になります。
海外製品の転売は確認作業や仕入れが大変な場合もあるので、あまりお勧めは出来ません。
また、輸入に関しては以下の項目に該当しない必要もあります。
・麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚せい剤及びあへん吸煙具
・けん銃、小銃、機関銃、これらの銃弾及びけん銃部品
・爆発物
・火薬類
・化学兵器の禁止及び規制等に関する法律に規定する特定物質
・感染症に規定する病原体など
・貨幣、紙幣、銀行券及び有価証券に偽造品、変造品、模造品、及び偽造カード
・公安または風俗を害すべき書籍、図面、彫刻物 その他の物品
・児童ポルノ
・特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権または育成者権を侵害する物品
・不正競争防止法に掲げる行為を組成する物品
Amazonや普通のネット転売
アマゾンなどで仕入れて、メルカリやヤフオクで転売するといった行為は基本的には合法であると言われていますが、違法であると指摘している専門家もいるので非常に判断が難しいようです。
しかし、やり方や商品によって違法となることもあるので、やはり古物商の許可を得るのが良いでしょう。
他にも、注意が必要なケースとしては在庫を持たずに出品する「無在庫出品」があります。例えば、Amazonで販売している商品をメルカリで高く出品しておき、売れたらAmazonで購入して発送するといった手法です。
この方法は禁止されている行為なので、見つかった時点でアカウント停止となってしまします。
転売は悪と思われてしまう理由
転売自体は合法であっても、悪いイメージを持っている人が非常に多いように感じます。安く仕入れて高く売るという、儲けることは商売の基本なので、決して悪い事ではないのですがなぜそのようなイメージがあるのでしょうか。
せどりと転売の違い
せどりと転売はどちらも行っていることは同じです。どちらもきちんとルールを守り商売をしていれば、何ら違法ではありませんし、文句を言われることもありません。
しかし、あえて違いを付けるとするならば、せどりは「古いものを安く仕入れて高く売る」。転売は「新しいものや希少価値のある物を仕入れて高く売る」。といったことではないでしょうか。
もちろん、転売でも古いものを扱う場合はありますし、せどりでも逆のことが言えます。明確な違いはないものの、悪いイメージを持たれる原因の1つとしてマナー違反者や業者による転売ではないでしょうか。
転売によるトラブル
チケット入手困難な人気アーティストのコンサートでよく起こるケースです。某人気アイドルグループのチケットが毎回手に入りずらく、ファンに対して高額な値段で販売する個人や業者が昔からいました。
最近では会場入り口にて購入者の本人確認をして、運営側も転売防止対策をし始めています。
また、2016年1月にスタバで限定108個しか販売されないという商品がありました。これをたった5人が早くから店に並び、108個全てを買い占めてしまいました。
そのため後ろに並んでいた人が買えず、後から高額で転売されていたため転売に対してのイメージが悪くなりました。転売目的でスタバの商品を買うこと自体には問題ないですが、マナー的に非常に問題であるという印象を与えてしまいました。
倫理的な観点から
チケットのケースにしても、スタバのケースにしても、購入者の気持ちに付け込んでまで商品を買い占めたり、値段を釣り上げて販売することは正しい転売とは言えません。
しかし今でも、芸能人が紹介した商品が人気となり、品薄状態のところに高額な値段で販売している方や業者が多く見受けられます。
さらに、アイフォンの新作の発売当初は入荷待ちになることは当たり前の光景となりました。一刻も早く手に入れたいアイフォンのファンや、商品を紹介したいYoutuberなどが高額な値段でも買ってしまうという光景も同時に見られます。
恐らく、悪い転売屋が後を絶たないのは、違反と分かりながらも商品を手に入れたい方がいるのも原因ではないでしょうか。需要がある限りは、完全に悪い転売屋をなくすことは不可能かもしれません。
Win-Winな転売を目指して
日本では、お金儲けはあまり肯定的に見られない風潮があります。その煽りを受けている業界の1つが転売ではないでしょうか。
しかし、転売はちゃんとした商売の形であり、古物商などの許可を得れば合法的に転売が可能になります。
メルカリやヤフオクなどが気軽に使えるようになり、誰でも転売がしやすくなってきたからこそ、今一度しっかりと知識とマナーを身につける必要があるのかもしれません。
必要なくなった物を売る方、それを転売目的で買い付ける方、その商品を探していた方のところへ新品よりは安い値段で販売する。これが本来の転売のあるべき姿で話でしょうか。
転売を始めようとしている方は、古物商の許可を取り、マナーとルールを守って合法的な転売を目指しましょう。お金儲け以外にも勉強になることはたくさんあるはずです。